富士山焙煎堂さま
富士山の五合目で1956年から登山者の方たちへの憩いの場を提供されている有限会社富士山みはらしさまよりご依頼いただき、2023年夏から始まる新規事業「富士山焙煎堂」の事業名考案・ロゴ制作を担当させていただきました。
特別な場所で贅沢な時間を。
「特別なものが必ずしも高級とは限らない」
昔に比べると格段にいろんなことが便利になった現代において、厳しい自然環境の中に身を投じることで感じることのできる特別感。
それは、お金を出せば手に入るものでは決してありません。
一見当たり前のように感じますが、理解している人は多くないように思います。
昭和から平成、令和へと富士山五合目の休息の場所として歴史を築き上げてきた、富士山みはらし。
これから新しく始まる事業は富士山だけにとどまらず、山梨を代表する焙煎所へ、さらには日本を代表する焙煎所へと新しい歴史を紡いでいきます。
そんな富士山みはらしさまの過去-現在-未来をデザインに落とし込み、シンボルマーク、ロゴタイプとして表現しました。
事業名について
普段は事業名が決まった上でご依頼いただくことが多いのですが、今回は事業名考案の段階からの参加。通常制作に取りかかる際は、まずその事業名や店舗のことを調べるところから始めますが、今回は富士山の歴史や富士山にまつわる言葉など、いつも以上に「知ること」に注力しました。
また、富士山みはらしの皆さまに「富士山五合目で事業を営むこと」についてお話を伺う中で見えてきたのは、単純に流行しているものや洗練されたイメージではなく、世界遺産でもある富士山で70年続く富士山みはらしさまの歴史や伝統を紡いでいけるような事業にしたいという思いです。
富士山五合目には富士山みはらしさまと同様に事業を営む店舗がいくつかありますが、現状は差別化が図れていないことが課題としてあげられ、新規事業においては「富士山みはらしのコーヒーを目的に訪れてもらえることを目指す」ということを念頭に事業名を複数提案させていただきました。
富士山は世界中から多くの人々が訪れる場所であり、富士山みはらしさまの店舗には神社が隣接しており、日本の情緒を感じることができます。
提案を元に打ち合わせを重ね、和の要素を簡潔に取り入れた「富士山焙煎堂」という事業名にたどりつきました。
シンボルマークについて
日本を象徴する富士山を、五合目を表す5つの正円でシンプルに表現しました。
シンボルの中でも一番大きな円はご来光を、そして富士山を形作る小さな円は富士山焙煎堂を通して人の輪やご縁が広がっていく様子を表しています。
富士山を円で表現することにより和の印象をあたえ、普遍的なモチーフのありがちな富士山ではなく、オリジナリティを感じさせる「特別感」を演出しました。
ロゴタイプについて
遙か昔の時代から日本の中心に鎮座している富士山。
そんな荘厳な様子を表現するために古代文字をベースとし、小さくなっても問題なく認識ができるよう、可読性を確保しつつ古代文字の雰囲気をしっかりと表現できるロゴタイプを制作しました。
制作エピソード
今回のご依頼は山梨県からということもあり、オンラインでのお打ち合わせで進めさせていただきました。
新規事業を始めるにあたって、現在お店も改装工事と新規事業の準備などでお忙しい中にも関わらず、毎回お打ち合わせの際には、女将さん、専務をはじめ、各部署の責任者の方たちが必ず参加してくださり、富士山みはらしの事業、新しく始まる新事業への熱量を、オンライン上ではありますが、感じさせていただきました。
ミーティングを通して、スタッフさん同士の仲睦まじい様子やチームワークを見せていただく中で、特に印象的だったのが「高級感より特別感」と、皆さんがおっしゃっていたことです。
富士山の山中という厳しい自然環境の中で、富士山登頂を目指す登山者や観光に来られたお客さまへの憩いの場を提供し続けている富士山みはらしさまだからこそ出た言葉だと思います。
わたしにできることは多くはありませんが、今回の新規事業のデザインを通して、富士山みはらしさまの思いや、富士山焙煎堂の魅力がロゴを通して伝わりますように!という気持ちでお仕事をさせていただきました。